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このコーナーは、アルクシアターメンバーに様々なインタビューをしたものである。
普段メンバーが思っている気持ちや野望などを根こそぎ聞き、記事にまとめました。
良かったらご覧下さい。


第二回はこちら


弥富 又八

【劇団アルクシアター座長、夢と希望に満ち溢れる男】


劇団アルクシアターの主宰、ミュージカル作家に、ユニットのプロデューサー、
様々な分野で世界を広げ、劇団を引っ張っていく座長の思い。
たくさんの愛が詰まった一つ一つの言葉。
他では聞く事の出来ないエピソードも加え、ここに語られた。



「音響をしていた時から、あの舞台に立ちたいってウズウズしていた。」


Q.演劇をはじめたきっかけは何ですか?

僕は幼い頃からギターやピアノを習っていて、小学六年の頃にはバンドを作って作曲もしていたんだ。
自分の好きな感じバンドサウンドにしたり、それをライブで表現するなんてことに熱中したんだよね。
ハードロックにパンクロックにブリティッシュ、テクノと、中学、高校と成長するたびに音楽嗜好は様々に変わっていったんだけど、大学1年の時にとんでもないものに出会った。
当時僕は漫画喫茶でバイトをしていたんだけれど、そこの先輩から「君はバンドをやっているんだって?実は僕がいま関わっている劇団で音響オペレーターを探しているんだけどやってみない?」なんて誘われたんだ。その時の僕にとって演劇と言ったら中日ビルや御園座などで年配の人が見るものってくらいのイメージしかなくて、さらに劇団の音響なんてなんのことかサッパリわけがわからなかった。でもなんだか未知の分野を覗いてみたいって好奇心から稽古の見学に行ったの。古い倉庫を利用した稽古場には僕より上の世代だけどあきらかに社会人じゃないって独特な雰囲気の人たちがジャージにTシャツなんて格好で大声でセリフを言ったり、ふざけたり、転げ回ったりしている。演出家は熱が入るあまり怒鳴り散らしたり。それに役者が突っかかって喧嘩みたいになったり。もう大迫力。それは不良の喧嘩やパンクのライブなんて僕が知っているどれよりも過激でどれよりも刺激的だった。それから毎日稽古場に顔を出すことになって。劇団員とも仲良くなり、ミルキーを食べていたからミルキーなんて愛称ももらい(笑)音響オペのやり方も手取り足取り教えてもらった。さていよいよ本番だって小屋入りしたのが大須の七つ寺共同スタジオ。なんだここ?ってビックリして正直ガッカリもした。もっと大きな所でやるんだと思っていたし、こんなお化け屋敷みたいな所でしかやれない劇団なのか…ってね。ところが、あの何もない空間に舞台が組まれて、照明がついて、みんな衣装を着てメイクをして、それに音響効果が合わさるとまるで別空間のよう。こんなに狭い所なのにすごく広い場所でやっているように見える。見に来るお客さんも若くてなんか挑戦的な雰囲気で。そういう人達が集う場所はライブハウスしか知らなかったけど、演劇でもこんなに盛り上がる場所があるんだって知って衝撃的だった。
その芝居が千秋楽を迎えたあとみんなと別れるのが寂しくて、打ち上げのお酒の勢いで主宰に「劇団に入れてください」って告げた。「音響がいてくれるのは助かる」って言われたけど、実は本番中に音響をしながらもあのキラキラした舞台に立ちたいってウズウズしていたので「僕は役者がしたいです」って。それから本格的に演劇に関わることになった。


「初舞台は東京だった。」


Q.初舞台の思い出を教えて下さい。

入ったのは『WAY‐夢(うぇいむ)』という劇団だったんだけど、次の公演は半年後にしかなくて、すぐに舞台に立ちたかったから別の劇団の客演を探して参加した。しかも初舞台は東京。後頭部の髪を剃った所にドーランで顔を描いて体をリバースさせながら一人二役って最低な役だった(笑)


「 弥富又八は怒られながら決めた芸名。」

Q.弥富又八という芸名の由来は?

僕の本名は「もりたかし」。劇団WAY‐夢には個性的な芸名を持っている人が多くて、普通っぽい名前の僕は芸名ってものを羨ましく思っていた。でも自分で考えて名乗るのは照れくさかったので劇団員で飲んでいるときに「僕の芸名を考えてください」って言ってみたんだけど、みんな真面目な顔しながらひどいの「野原のうんこ」とか「エルビンステテコ」なんて変なことばかり言う。他にもひどい芸名候補がどんどん出てくる「そんなのいやですよ」って言い続けていたら「お前住所どこ?」と聞かれて、「弥富町の又八というところです」って言ったら「又八?それでいいじゃん!」だって。「いやですよ。おじいさんみたいで」って返したら、酔いが回ったみんなが怒り出しちゃって。「頼まれたから考えてやってるのに、ウンコかステテコか又八か3つのうちから選べ!」だって(笑)怖いからとりあえず「じゃあ又八で…」って(笑)。
後で変えればいいやってその場しのぎで選んだ芸名で、なんと25年以上やってしまうとは思わなかった(笑)。

その弥富又八の初舞台は「サラリーマンバトルロイヤル」という作品。つかこうへいの影響が濃い主宰が作った勢いのある芝居。小屋はまたまた七ツ寺。初日は30
人くらいしか入らなかったのに、世の中を皮肉ったユニークな内容が評判になり、どんどん客が増える。そしてなんと千秋楽には立ち見も出る120人が詰めかける超満員になってしまった。
予想外の出来事に劇団員みんな驚いてしまって、感動したな。
さらにその公演の打ち上げは忘れられない。

小さな居酒屋の奥座敷でみんなで飲みながら終わったばかりの公演の話をしているうちについつい芝居そのものを始めてしまう。だんだん立ち上がって行ってまるで舞台みたいな大声で。すると店のおばちゃんが飛んできて「他のお客がいるのにうるさいよ!」って怒られる。でもみんな嬉しくてしょうがないから小声で続きを始めてしまう。だんだん声が大きくなってしまい、またおばちゃんに怒られる。なんてことを繰り返しているうちに、僕らの嬉しそうな様子がわかったのか、おばちゃんが怒った顔で入ってきたかと思うと「もう他のお客返したから存分にやりな!」だって。うわっ!てみんなで盛り上がって、また最初から大好きな作品を自分たちだけで上演したの。お店が閉まってからも、近くの大学で騒いで劇中曲を歌ったり…こんなに心から楽しいことがこの世にあるんだな〜って、出来ればこの最高な瞬間に人生が終わってくれないかなんてことも考えたくらい。
それで演劇にハマった。人生に賭けるべきものに出会った。


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